
あらすじ
大学時代の先輩が体験した不可解な出来事。
毎年「13日の金曜日」の夜9時、非通知からの電話が鳴る──
それは、ただの悪戯ではなかった。
年を追うごとに迫ってくる“何か”の正体とは?
読む際は、くれぐれも夜9時にスマホの着信音を切ってからどうぞ。
本文
これは、私が大学時代にお世話になった先輩の話です。
怖い話は信じない性格だった私が、この体験だけは信じてしまったのには、理由があります。
第一通話:最初の“予告”
それは大学1年のとき。
先輩はサークルの飲み会から帰宅し、夜9時ごろに非通知の電話を受けました。
「……あと、三日。」
女の囁き声でした。通話中、「ポタ……ポタ……」と水音のようなものも聞こえていたといいます。
気味が悪いながらも、先輩は悪戯電話だと片づけました。
第二通話:偶然が重なる
1年後の「13日の金曜日」。
再び、夜9時に同じような非通知着信が。出てみると、声はこう言ったのです。
「……あと、二日。」
前回とまったく同じ女の声。背後にはまた、あの水音。
ふと気づいたのは、毎年この日が「13日の金曜日」であること。
偶然にしては出来すぎている──先輩は、そう呟いたそうです。
第三通話:逃げても逃げられない
三度目の13日の金曜日。
先輩は電話に出ず、電源を切って寝ようとしました。
しかし、耳の奥で「ポタ……ポタ……」と、水の音が止まらない。
布団の中で耳を塞いでも、その音は続いたといいます。
そして──耳元で、あの女の声が囁いたのです。
「……あと、一日。」
最終通話:その日、彼女は来た
四年目の13日の金曜日。
先輩はゼミ合宿で山奥のロッジにいました。電波も届かない圏外。
にもかかわらず、夜9時にスマホが鳴ったのです。非通知。
出ると、女の声が言いました。
「……いま、うしろにいる。」
その瞬間、先輩の後ろにいた後輩が叫びました。
「肩に……びしょ濡れの女が乗ってる……!」
そして、その後
それから先輩は休学。音信不通になりました。
ただ、今もその番号は“生きている”といいます。
13日の金曜日、夜9時。
あなたのスマホに「非通知」から着信があったら──
決して、出てはいけません。
「ポタ……ポタ……」
その音が聞こえた時、もう、あなたの背後に“彼女”はいます。
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