オプション取引には、マーケットの方向性や変動性、時間経過などを活かした多彩な戦略があります。
本記事では、代表的な8つの戦略を、初心者にもわかりやすく解説&比較します。
① カバードコール(Covered Call)
株を保有しながらコールを売ることで、保有中も収益を狙える戦略。
- 市場予想: 横ばい〜緩やかな上昇
- 構成: 現物株 + コール売り
- メリット: 動かない相場でもプレミアム収入
- デメリット: 株価が急騰すると、利益が頭打ち
📊 損益イメージ:
小幅上昇 ⇒ 最大利益
下落 ⇒ 株式の含み損(ヘッジなし)
急上昇 ⇒ 利益がコール売りで制限される
🎯 こんな人におすすめ: 中長期で株を保有している投資家
💡 キーワード: オプション、プレミアム収入、保有株ヘッジ
🔰 難易度: ★★☆☆☆
② プロテクティブプット(Protective Put)
株の下落リスクに備える「保険」的な戦略。
- 市場予想: 不安定 or 下落懸念
- 構成: 現物株 + プット買い
- メリット: 損失を限定できる
- デメリット: プット購入分のコストがかかる
📊 損益イメージ:
大きな下落 ⇒ プットで利益、株損失を補填
上昇 ⇒ 株で利益、ただし保険料はマイナス
🎯 こんな人におすすめ: 急落に備えたい慎重派の投資家
💡 キーワード: リスクヘッジ、保険、暴落対策
🔰 難易度: ★★☆☆☆
③ アイアンコンドル(Iron Condor)
動かない相場で利益を狙う、「中立型」戦略。
- 市場予想: 値動きが少ないレンジ相場
- 構成: プット売り+プット買い+コール売り+コール買い
- メリット: 最大利益と損失が明確・管理しやすい
- デメリット: 相場が動くとすぐ損失になる
📊 損益イメージ:
価格が中央レンジ内 ⇒ 最大利益(プレミアム合計)
価格が大きく上下 ⇒ 損失(ただし限定)
🎯 こんな人におすすめ: 相場が膠着していると感じた時のトレーダー
💡 キーワード: レンジ相場、ボラティリティ売り、中立戦略
🔰 難易度: ★★★★☆
④ ロングストラドル(Long Straddle)
相場が大きく動けば、どちらの方向でも利益になる戦略。
- 市場予想: 急騰 or 急落(方向性不問)
- 構成: 同一行使価格のコール+プットの買い
- メリット: 上下どちらに動いてもチャンス
- デメリット: 動かなければ両建てコスト分だけ損
📊 損益イメージ:
上下どちらかに急変 ⇒ 一方が爆益、他方は損失限定
価格横ばい ⇒ 両方ともプレミアム損失
🎯 こんな人におすすめ: イベント直前(決算、FOMC)などを狙う短期派
💡 キーワード: ボラティリティ買い、イベント投機、方向性なし
🔰 難易度: ★★★☆☆
⑤ ロングストラングル(Long Strangle)
ストラドルより安く、利益発生にはより大きな動きが必要。
- 市場予想: 極端な変動(方向性不問)
- 構成: 権利行使価格の異なるコールとプットの買い
- メリット: ストラドルより低コスト
- デメリット: 利益が出るには大きな動きが必要
📊 損益イメージ:
大変動時 ⇒ 一方が爆益
中途半端な動き ⇒ 両方損失
🎯 こんな人におすすめ: コスト重視派、長期目線でも可
💡 キーワード: 安価な両建て、ボラ拡大狙い、イベントドリブン
🔰 難易度: ★★★☆☆
⑥ ブル・コール・スプレッド(Bull Call Spread)
上昇予想に基づく、安全志向の買い戦略。
- 市場予想: 緩やかな上昇
- 構成: 安い行使価格でコール買い、高い価格でコール売り
- メリット: 安価でリスク管理しやすい
- デメリット: 大きく上がっても利益は制限される
📊 損益イメージ:
目標価格まで上昇 ⇒ 利益
横ばい or 下落 ⇒ 損失(最大でもプレミアム分)
🎯 こんな人におすすめ: 保守的に強気を攻めたい投資家
💡 キーワード: スプレッド取引、上昇相場、コール買い
🔰 難易度: ★★☆☆☆
⑦ ベア・プット・スプレッド(Bear Put Spread)
下落予想に基づいたリスク制限付きのプット戦略。
- 市場予想: 緩やかな下落
- 構成: 高い価格でプット買い、低い価格でプット売り
- メリット: 急落時にも損失は限定される
- デメリット: 急落でも利益は限定的
📊 損益イメージ:
目標価格まで下落 ⇒ 利益
横ばい or 上昇 ⇒ プレミアム損失
🎯 こんな人におすすめ: 弱気な見通しを持つ慎重なトレーダー
💡 キーワード: 弱気相場、スプレッド、プット戦略
🔰 難易度: ★★☆☆☆
⑧ カレンダースプレッド(Calendar Spread)
時間のズレを活かした高度な戦略。
- 市場予想: 価格は安定だが、時間経過を狙いたいとき
- 構成: 同じ行使価格で近月オプション売り、遠月オプション買い
- メリット: タイムディケイ(時間価値)の差を収益化
- デメリット: 管理が難しい、方向性にも敏感
📊 損益イメージ:
価格が変わらず時間経過 ⇒ プレミアム差で利益
急変 ⇒ 両建てで損失
🎯 こんな人におすすめ: 時間・ボラティリティの関係を読み解ける中上級者
💡 キーワード: タイムディケイ、ボラ売買、満期差取引
🔰 難易度: ★★★★★
✅ まとめ:あなたに合った戦略はどれ?
オプション戦略は「相場の方向性」「ボラティリティ」「時間経過」「投資スタイル」によって選び方が異なります。
1つの戦略に頼らず、市場の状況に合わせて柔軟に使い分けることが、リスクを抑えて勝率を上げるポイントです。
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